「会社を辞める」決断の前に、将来の可能性を広げる方法とは?【角田陽一郎×加藤昌治】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「会社を辞める」決断の前に、将来の可能性を広げる方法とは?【角田陽一郎×加藤昌治】

あんちょこ通信 第7回

 

■辞める前に、「社内で兼業」してみる

 

加藤:そう意味で言うと、ポジティブな意味での「副業」というか、農業で言うと二毛作みたいなものが、サラリーマンの人でもあっていいんじゃないかと思うんです。元々の質問に戻ると、今の仕事で会社の端っこなら、「社内兼業」みたいなものもあり得ると思うんですよ。

 

角田:そうだよね。違う部署との間でプロジェクトをやるとかさ。

 

加藤:それもそうだし、正式な命令系統から外れて、頼まれてもいないのに他の部署や他の人の仕事を手伝ってしまうような「勝手な兼業」もあり得るわけですよね。上から怒られるかも知れないけれど。

 つまり、「会社を辞める、辞めない」という大きな判断をする前に、会社の中で自分が任されてることの他にもなにかやってみる。野菜で言うなら、メインはカボチャ農家なんだけど、例えばヒマワリ油を採りたいので向日葵も植えてみました、みたいなのもアリなんじゃないかな。

 

角田:確かに、辞める前に一回少しだけ他部署のことをやってみるのはありだね。

 

加藤:「異動」ということになると、「今の仕事か、次の仕事か」という「or」の話になるけれど、「and」でいいんだよ。

 

角田:「and」あるいは「with」だね。

 

加藤:ああ、そうだね。それを個人的に「公公私混同」と言ってるんです。

 

角田:「公」が二つなんだ?

 

加藤:角田君も同時にいくつかのプロジェクトが走ってるタイプじゃないですか。例えばAプロジェクトで知り合いになった人と、Aプロジェクトでは上手くコラボできないんけれど、たまたま自分にとって横で走ってたBのプロジェクトのほうだとすごくイケることって、あるよね?

 それは「公と公を混ぜる」ってことになるでしょう。

 

角田:なるほど。どっちも「私」じゃなくて「公」だもんね。

 

加藤:会社でも、「労働時間の何割は別のことに充てる」みたいなのが制度化されているところがあるでしょう。それを自分でやるんだよ。

 

角田:実際、僕は制作の番組がなくなってしまったところからTBSの社内ベンチャーでgoomoって会社を作ることになって、その時には「制作局 兼務 メディアビジネス」みたいなことをやっていたわけです。結果、TBSを辞めてからは、制作局の花形でいたことよりも、制作局と兼務でメディアビジネスみたいなことをやっていた知見がものすごく生きてるんだよね。それまで営業なんか行ったことなかったのに、今は営業をガンガンできているのも、メディアビジネスのことをやってたからだしさ。

 

加藤:今の話は「会社員でいることのよいところ」だよね。番組がなくなってからgoomoを始めるまでには少し空白期間があったわけじゃない。それでも給料がでなかったわけじゃないから。

 

角田:そうだよね。

 

加藤:さらに踏み込んで、いくつかの仕事を重ねる感じができれば、あまり怖くないやり方ができる気がするな。

 会社では、自分のやりたいことをそのままやらせてもらえる確率は高くないから、待ってるだけではなくてちょっとはみ出してやってみる、みたいなことができるといいのかも。

 

角田:「社内越境」してみるんだね。

 

加藤:そうそう。越境してみると、意外に「お前、そんなやつなんだ」ってお声がかかることもあるんじゃないかな。

 

角田:そうなると、経験が次のステップに生きてくるよね。

 

加藤:うん。「越境」まで行けないなら、「社内を散歩しろ」ってことかもな。探求学習で有名な市川力さんとお話しした時も、「フラフラする」みたいなことを強調されていたな。「目的を持たずに歩く」ことが大事なんだよ。

 市川さんは歩くスピードの話もされていて、「ピューっていっちゃだめだよ」と言うんだ。

 

角田:駆け足だと見てないもんね。フラフラしてない。

 

加藤:何かを発見しようと思って歩くんじゃなくて、プラプラしてると「おっ」と見つかるものがある。そこに創造性のきっかけがあるんじゃないか?みたいな話をされていて、すごく納得したな。

 

角田:なるほどね。元々の質問者の方は、別の仕事を探したほうがいいか迷ってらっしゃるけれど、アドバイスとしては「探す」というよりは「フラフラしてみよう」ということですね。

 

加藤:いきなり移るのも怖いじゃないですか。実際にやる前に「知っている」ことは一つの力だから、「知ってからやる」みたいなことに少し時間を割いてみるのは、ありなんじゃないでしょうか?

 

次のページ社内散歩、あるいはコミュニティの復権

KEYWORDS:

 

角田陽一郎と加藤昌治の「お悩み"あんちょこ"ライブ相談会」

#3 ゲスト立川談慶

《12月7日(火)20時〜 YouTube無料ライブ配信!》

◉バラエティプロデューサー角田陽一郎とベストセラー『考具』の加藤昌治が 落語家の立川談慶師匠をお迎えして皆様の仕事の人生のお悩みに応えます!ぜひご覧ください!

↓ ↓ ↓

https://youtu.be/B42lrh3JRsU

 

◎ぜひ!みなさん気軽にご参加、視聴ください!

◎仕事や人生での壁を乗り越えるヒントを得られることを約束します!

 

皆様の仕事の人生のお悩み、立川談慶師匠に聞いてみたいこと、受け付けています!

お悩みは、

●名前(ペンネーム可)

●大体の年齢

●一応性別

●なんとなくのご職業

●お住まいの都道府県的なもの
●ご相談内容
などを明記して下記のメールアドレスまでお願いいたします。

anchokojiten@gmail.com

 

■「あんちょこ相談会」第1回の無料ライブ配信の視聴は以下のURLから↓

https://youtu.be/TL2u2dysN7o

■「あんちょこ相談会」第2回の無料ライブ配信の視聴は以下のURLから↓

 https://youtu.be/HlII9pquOgM

■「あんちょこ相談会web」

https://anchokojiten.themedia.jp/posts/21528421

 

※上のPOP画像をクリックするとAmazonサイトにジャンプします

オススメ記事

角田 陽一郎/加藤 昌治

かくた よういちろう かとう まさはる

角田 陽一郎(かくた・よういちろう)

バラエティプロデューサー/文化資源学研究者 

千葉県出身。千葉県立千葉髙等学校、東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビに入社。「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」「オトナの!」など主にバラエティ番組の企画制作をしながら、2009年ネット動画配信会社を設立(取締役 ~2013年)。2016年TBSを退社。映画『げんげ』監督、音楽フェスティバル開催、アプリ制作、舞台演出、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員(2014、15年)、SBP高校生交流フェア審査員(2017年~)、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。現在、東京大学大学院にて文化資源学を研究中。著書に『読書をプロデュース』『最速で身につく世界史』『最速で身につく日本史』『なぜ僕らはこんなにも働くのだろうか』『人生が変わるすごい地理』『運の技術』『出世のススメ』、小説『AP』他多数。週刊プレイボーイにて映画対談連載中、メルマガDIVERSE配信中。好きな音楽は、ムーンライダーズ、岡村靖幸、ガガガSP。好きな作家は、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、司馬遼太郎。好きな画家は、サルバドール・ダリ。

                                                             

加藤 昌治(かとう・まさはる)

作家/広告会社勤務

大阪府出身。千葉県立千葉髙等学校卒。1994年大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(CCCメディアハウス、2003年)、『発想法の使い方』(日経文庫、2015年)、『チームで考える「アイデア会議」考具応用編』(CCCメディアハウス、2017年)、『アイデアはどこからやってくるのか 考具基礎編』(CCCメディアハウス、2017年)、ナビゲーターを務めた『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社、2012年)がある。           

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

仕事人生あんちょこ辞典: 50歳の誤算で見えた「ブレイクスルーの裏技45」
仕事人生あんちょこ辞典: 50歳の誤算で見えた「ブレイクスルーの裏技45」
  • 角田 陽一郎
  • 2021.09.02
AP アシスタントプロデューサー
AP アシスタントプロデューサー
  • 角田陽一郎
  • 2021.08.18
考具 ―考えるための道具、持っていますか?
考具 ―考えるための道具、持っていますか?
  • 加藤 昌治
  • 2003.04.04